■乳がんの診療について
山形市立病院済生館 第二診療部長 外科 長谷川繁生
国立がんセンターのがん情報によると令和元年の乳がんの罹患(りかん)者数は9万7142人と、日本人女性のがん疾患では第1位で、腫瘤(しゅりゅう)を自覚する例が約55%と半数以上でした。また、罹患者数は第1位ですが、死亡者数は大腸(直腸も含む)、肺、膵臓(すいぞう)に次ぎ第4位となっています。一般的に、年齢別罹患率は45歳まで急増し、45歳から69歳の間にピークがあるといわれています。
乳がんの治療には、手術、放射線治療、化学療法や内分泌療法などがあります。乳がんの約7割は、内分泌療法の効果があるといわれ、手術後に内分泌療法を行います。内分泌療法は、がんの再発を抑制しますが、その治療法を長期に行う場合に発生する合併症にも注意が必要です。
乳がんの発見には乳がん検診が重要であり、40歳以上の女性には2年に一回の受診が推奨されています。最近では、コロナワクチン接種後は、脇のリンパ節が腫れることがあるため、検診時にワクチン接種の時期を伝えることが重要です。また、日本乳癌検診学会では、コロナワクチン接種とマンモグラフィーの撮影時期について、調整が可能ならワクチン接種前か、ワクチン接種後4~6週間後の撮影を考慮しても良いとしていますが、必要以上に間隔を空けての受診は推奨していません。
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